京都文博「北斎展」

2月と3月とで展示が総入れ替えというニュースを「ぷいぷい」で知り、これはいかんと飛び込みで見てきました(正確には前期の最後は2月26日)。

おそらく、同じ考えの人が最後の週末にわっと押し寄せんねやろなぁ、と思っていたら案の定。浮世絵は遠くからそっと眺める、というわけにもいかず、ある程度列に並んで辛抱しましたが、なかなかに楽しめました。

一通り眺めてみると、自分なりの見方ができてきて。
構図のおもしろいもの、漫画的なコミカルなもの、鳥獣に見られる繊細さ、といろいろ見所がある中で、一番のお気に入りは静と動のコントラストが際立ったもの。それから、パノラマ的な空間の広がりを感じさせるもの。

前者の一番は「隅田川関谷の里」(馬の疾駆感がたまらん)、後者の一番は「五百らかん寺さざえ堂」(ただただ眺望感)。

見ていて思ったのだが、北斎の絵の構図を楽しむには、でかでかと(そして細かく魅力的に)描かれている対象からすっと視線を外したところに視点をおいて全体を眺めるのがポイントではないか、と。

その一番判りやすい例が「富嶽三十六景」で、派手に描かれる波頭や桶や人物、建物から小さく描かれる富士山へと視点を移すことで、構図のおもしろみがよくわかる。

そういう観点から見ると「百人一首」の絵解きが非常に面白く。つまり、絵解きになっているテーマが富士山のように、視点の置き所になっていて、その視点から全体を眺める、逆に全体の構図が面白く見えるところに実は絵解きのテーマがあるといった具合に絵を見る遊びができまして。(まあ、付されている歌が詠めれば答がすぐわかるはずなのだが、仮名がよめず・・・)

「滝巡り」でも、人物の視線を追ったり、さりげなく描かれる鳥獣に視点をおいてみたり。
と、見る中心をあちこち変えることで絵の見え方が俄然変わってくるという面白さが北斎の絵のもつ魅力の1つなんではないか、と自分なりの楽しみを発見してほくほくしていたというわけです。

またそれとは別に驚いたのは漫画のうまさ。これ、普通に今の漫画にあってもいいよなぁという、特に背景と妖怪の絵。

思わず、グッズコーナーにならんでいる漫画集を買ってしまった・・・(1冊1500円もする!!)。
3冊セットのボックスを買うわけにはさすがに行かず(だって手持ちの金がなくなるんで)、妖怪が中心に収められた3巻だけを買って帰りましたが。あー、こういう時に貧乏がつらい。

さて、後期は3月25日まで。もう一回見に行って、そして手ぬぐいを買うかどうかもう一回悩もう。