ポンペイ展


せっかく東京に出てきたので、ずっと行きたいと思っていたポンペイ展へ。
今日が最終日なので、人手の多さを予想していたのだけれど、まったくそういうことはなく。なんか普通の混み具合、とも言えないくらいの人の数。鑑賞には非常に適している。
しかし、絵を見るに、彫像を見るに、職人芸ですわな。これが単体ではなく、ずらっと眼前一体に広がって存在するんだろうから、それは荘厳な光景だったのだろう。

目玉は全3世紀のミネルヴァの銅像。雰囲気が際立っている。これもやはり職人の仕事なのだろうけど、やはり当時の信仰心が反映されているだろうし、そういう気持ちが醸し出す荘厳さと緊張感なのだろう。今、こういう作品が再現できないのは、作り手にそこまでのメンタリティがないからなんだろうね。伝統的技術をメンタリティごと維持するのってのは非常に大変なような気がする。

ミネルヴァ像が目玉、目玉と聞いて行ったのだが、実はそれよりも一層インパクトがあったのは、ポンペイから発掘された家の壁面と噴水の展示。緑鮮やかな庭園の描かれた居間の壁が2面、そして食堂に配されていたであろう噴水がそのまま展示されていたのにはビビった。破損状況も時代を考えれば圧倒的に少なくて。紀元前のポンペイの街にあった家そのままが目の前にどんと置かれているってのは感動以外のなにものでもなく。

居間は4畳半とかなり狭く、その広さで壁一面に植物を描かれたら、現代なら圧迫感を感じるのだろうけれど。でも、それはおそらく街として自然と人間のスペースが完全に分離されていたわけで。そのような石ばかりで出来た街にはそのような部屋は想像力をかき立て、実際に暮らしたなら現実の何倍も開放感を感じさせるものだったのかも。食堂も同様で、6畳くらいの広さにも関わらず、部屋の奥から流れ出る水の流れによって涼しさと時間的・空間的広さを感じられたのかもしれない。

って、実は、最後の部屋に、CGで当時の様子を完全再現するビデオが流されてるんだよねwww。でも、ビデオみてからもう一回元の展示に戻って、再度眺めてみると一層リアルにその情景が想像できるわけ。なんかすごい体験した感じ。もうけ。